前回のブログで核分裂について触れた。
身の回りで生じる化学反応は単にいろいろな原子が組み替わるだけだが、核分裂は原子核が分裂して原子そのものが別の物質に変わってしまう。
核分裂が起きると原子核の質量が少しだけ減って、その分がエネルギーに変わる。
そのことを見事に「エネルギー=質量欠損×光速の2乗」という明快な式で示したのが、かの有名なアインシュタインだ。
物質が減ってエネルギーに置き換わるというのだから、最初は理解しがたいものだったろう。
今では物理学のシンボルとして知られる等式だ。
ウランの原子核に中性子がぶつかって核分裂が生じると、新しい中性子が出てきて他のウランの原子核にぶつかる。
というように連鎖反応が生じると無数の原子核が分裂する。
一つの核分裂からは極めて微量なエネルギーしか発生しないが、連鎖反応が生じるとエネルギーは莫大なものとなる。
上記の「エネルギー=質量欠損×光速の2乗」という式でウランの質量欠損が1gのとき、発生するエネルギーはおよそ下記のようになる。
エネルギー(J)=1/1000(kg)×300000000(m/S)×300000000(m/S)
これを計算すると、発生するエネルギーは90兆Jになる。
エネルギーの単位のジュール(J)はピンとこないのでカロリーに換算すると、
90兆J÷4.184≒215億kcal
ウランの1gの質量欠損は、およそ2億リットルの0℃の水を100℃に上げるエネルギーに相当する。
わかりやすくいうと、1億人が2リットルのペットボトルに冷水を入れて持っているとき、瞬時にすべてを沸騰させてしまうエネルギーだ。
広島型の原爆で約0.7g、長崎型の原爆で約1gの質量欠損があったと推測されている。
換算すると核分裂したウランは1kg前後になる。