シニアがブログでモノローグ

このままでは年を取って死ぬだけ。ブログでもやってみよう。

太陽の季節

夏至を迎え,大量の太陽光を浴びる季節となっている。

太陽光のうち,半分以上の60%は目に見えない赤外線,私たちに視覚を生じさせる可視光線が39%,残りの1%は紫外線だ。

その他の太陽光は地上に降り注ぐ前に大気で吸収される.

 

太陽光で一番多い赤外線には熱を与える作用がある。

夏はジリジリと私たちを照らし続ける。

皮膚への透過性も高く,真皮を通過して皮下組織にまで達して熱エネルギーに変化する。

 

太陽光に含まれているもので赤外線の次に多いのは可視光線で、目の網膜に入ると電気信号が発生して脳に色の情報が伝えられる。

可視光線は波長によって色が異なる。

リンゴが赤いのは,リンゴが赤色の波長の可視光線を反射して目の網膜に入るからだ。

それ以外の波長の可視光線はリンゴに吸収される。

人間では波長の最も短い紫から,波長が長くなるにつれて藍(あい),青,緑,黄,橙(だいだい),赤まで見ることができる。

紫より短い波長(紫外線)や赤より長い波長(赤外線)の光線は見ることができない。 


紫外線は太陽光に占める割合が小さいが,照射される物質に化学変化をもたらして健康に大きく影響する。

大昔、生物が海中で誕生したが、陸上にはまだ危険な短波長の紫外線が降り注いでいた。

やがて海中で光合成する藻類が現れて酸素が発生し、空高く昇って高度2万メートル付近にオゾン層が形成された。

このオゾン層により特に有害な短波長の紫外線が吸収されたので陸上生活が可能になり、多くの生物が繁栄することとなった。

 

地上に到達する紫外線の波長は280~380ナノメートル程度である(1ナノメートルは1mmの百万分の一)。

250ナノメートル前後の紫外線は殺菌力が強いが,太陽光ではこの波長付近の紫外線の大部分が大気に吸収されるので地表に到達する紫外線は殺菌力が強くない。

晴れた日に屋外にふとんを干したりする。

ふとんの乾燥やダニ退治には効果的かもしれないが、紫外線の殺菌力はあまり期待しない方がよさそうだ。

 

紫外線が皮膚に照射されるとヒスタミン様物質が遊離して皮膚血管が拡張するので皮膚が赤みを帯びる。

皮膚の赤みは数日で消えるが,表皮の最深部で生成されたメラニンによる色素沈着(日焼け)がその後にみられる。

メラニンは紫外線を吸収し,皮膚組織の損傷を防ぐ。

メラニンの量で皮膚が黒く見えたり,白く見えたり,黄色く見えたりして人類集団を特徴づけている。

 

紫外線は赤外線に比べて透過性が低いので眼球に吸収されても水晶体まで到達しないが,表層で吸収されて角膜や結膜の細胞を損傷して炎症を起こしたりする。

一年中かけているサングラスのお兄さんは怖かったりするが、夏の浜辺やスキー場でかけるサングラスはよしとしよう。

 

紫外線に長期にわたって暴露されると,皮膚が老化したり皮膚がんに進行したりする危険性がある。

紫外線による皮膚の老化は、中高年の方々の手の甲や首すじと腹部の皮膚を比較するとわかりやすい。

ふだん露出している手の甲や首すじの皮膚は長期間にわたり紫外線を浴びた結果、露出していない腹部の皮膚よりもしわが多く老化している。

格子状のしわが観察される場合、一区画が菱形になっているので菱形(りょうけい)皮膚と呼ばれている。

体に浴びる紫外線量が多い地域ほど皮膚がんの発症率も高いことが知られている。

 

紫外線は生体に対して有害なことが多いが,そうでない場合もある。

皮膚にあるビタミンDの前段階の物質プロビタミンDに紫外線が当たるとビタミンD3に変化し,腸粘膜からのカルシウムの吸収と骨でのカルシウムの交換を促進する。

十分な日射量が得られないでビタミンD3が不足すると,骨が柔らかくなって曲がりやすくなる。


コロナ禍で自宅に巣ごもり状態ではビタミンD3ができないのではと日光浴を志向する向きもあると思うが,夏の時季はわずか数分でいいようだ。