コロナの感染防止対策で体温を測られることが多いが、バイタルサインとして重要な指標だ。
バイタルサインとは私たちの生命維持にかかわって欠かすことのできない基本情報のことで体温のほかに心拍数、血圧、呼吸数がある。
これらの数値が健康なときよりも変化していないかを医療従事者は観察している。
からだに何か異変があればバイタルサインとして現れやすいからだ。
健康なときにどれくらいの数値をしめすのか把握しておく必要があるが、体温についてみると子どもたちの普段の体温が低くなっているという指摘が1970年代頃から小中学校の養護教諭などによりなされはじめた。
1950年代に測定されているものより0.5℃前後低いというのである。
体温の測定方法が適切であるかということや、どのようなデータと比較して体温が低いと判断しているのかなど調べないといけないが、養護教諭を中心とした学校関係者による現代の子どもの低体温化傾向を指摘する声は根強かった。
人類が進化を遂げてきた温熱環境にふさわしく、長い時間をかけて獲得した合理的な体温のレベルはそう簡単には変わらないので、現代の私たちの生活環境や生活習慣が子どもの体温に一時的なひずみをもたらしている可能性がある。
可能性としては以下のようなものが考えられまいか。
1.朝食をとらなかったり、わずかにしかとらなかったりして食事誘発性体熱産生が低くなっている。
2.生活時間の夜型化により、体温の日内変動による上昇が遅い時間の方へシフトしている。
4.運動不足にともなう体熱産生の低下。
5.自律神経機能の低下により皮膚血管の緊張性が十分に得られず、熱放散が過度に生じている。
水銀体温計を使って腋(わき)の下の温度を測定するときは10分以上の時間をかけて測定しないと体温を実際よりも低く見積もってしまう。
どのような体温計を使用するにしても、正しく体温が測定できているかを確認することが低体温化傾向の可能性を検討する前に必要だろう。