前回のブログのつづきになるが,寒さへの形態的適応については体の大きさ以外の容姿にも現れる。
ジェームズ・ディーンの映画を見た後,余韻にひたりながらあの憂いに満ちた表情を鏡の中でまねる。
・・・。
どこか違う!
私の場合,顔のパーツは同じように揃っているのだが,大きな違いを感じるのは目元の印象だ。
特にまぶたがディーンよりも腫れぼったい。
これは私だけでなくシベリアのような寒冷地で進化したアジア人(モンゴロイド)の特徴だ。
上図のように眼窩(がんか,眼のくぼみ)に鉛直方向に棒(人差し指でもよい)を橋渡してみる。
欧米人でまぶたは棒に触れないが,寒冷地に適応してきたアジア人ではまぶたが棒に触れる。
アジア人のまぶたが厚いのは,水分の多い眼球を凍傷から守るためにまぶたに脂肪を蓄えて熱放散を少なくした名残りだ。
私たちはまぶたが厚くなっているだけでなく、鼻も欧米人に比べると低い。
鼻が高くなっていると、やはり寒冷地では凍傷にかかりやすい。
顔全体の凹凸が小さく、いわゆる彫りの深い顔からは遠ざかっている。
顔だけではない。
四肢も寒冷地仕様となっている。
上肢も下肢も欧米人に比べると短めだ。
長いと熱放散する体表面積がそれだけ大きくなってしまう。
ヒトに限らず、一般的に同種あるいは近縁の種の恒温動物で、寒冷地に生息するものは耳、首、脚、尾などの突出部が短い傾向がある。
この生態学的な現象はアレンの法則と呼ばれ,ベルグマンの法則と同様によく知られている。
背が高くて手足が長くて顔の彫りの深いのがカッコイイと感じる人が多いと思うが、この美意識はどこからくるのだろう。
どうにかならないものか。