前回のブログの中で最大心拍数の計算式について触れた。
最大心拍数は最大強度の運動をしているときに得られるので、そう簡単に測ることはできない。
疲労困憊(こんぱい)するような運動をしてもらわないといけないし、ある程度の危険をともなう。
そのため、最大心拍数は計算式で推定することが多い(個人差があるので、必ずしも計算式通りにはならない)。
およそ、最大心拍数は加齢とともに直線的に減少する。
加齢により、心房の壁にあるペースメーカー(心拍リズムを作り出している)から心室にいたるまでの刺激伝導系に時間的な遅れがみられることや、心筋のカテコーラミンへの感受性が低下することなどが理由としてあげられている。
したがって、最大心拍数の計算式は年齢との関係式でしばしば表される。
よくみかけるのは、最大心拍数=220-年齢。
アメリカ心臓協会(1972)が提示したものでもあり、多くの教科書に記されている。
しかし、私は経験的に最大心拍数を過大に推定するという印象を受けている。
そのほかにも様々な計算式があるが,多くは過大推定の傾向があるように思う。
アスリートではない20歳代前半の男子を被験者にして、トレッドミルの傾斜角度を徐々に大きくしながら疲れ切るまで早歩きしたときの最大心拍数は,多くの場合190拍/分を少し下回る程度であった。
このような私の経験と合致するのが前回のブログで示した最大心拍数=210ー年齢だ。
この計算式に基づくと、最もきつい運動をしているとき20歳の若者の心拍数は190拍/分と推定される。
60歳のシニアでは150拍/分と推定される。
若者とシニアの心拍数を単純に比較して、シニアに「もっと動けるはず!」と頑張らせてはいけない。
危険極まりない。
いたわってあげないといけない。