そろそろ年賀状を出す準備をしないといけない。
挨拶をメールで済ませるなど、昔に比べれば年賀状を出す人は少なくなっただろう。
年賀状を出すのを止めてもいいのだが、抜け出せないでいる。
女房は年賀状が好きなようだ。
毎年、この時期になると年賀状にパソコンのプリンターで印刷するときのデザインを考えるよう私に言ってくる。
パソコンのプリンターで年賀状にイラストや挨拶文を印刷しただけでは味気ないので、手書きで一文を添えているが、私の書く字はお世辞にも上手とはいえない。
私には姉や兄が合わせて5人いる。
みんな口にこそ出さないが、私の字が兄弟姉妹の中で一番下手だと思っているはずだ。
小さい頃は学校の書き方大会で丁寧にきれいな文字を書いていたように記憶しているが、いつの間にか草木がなびくような文字になってしまった。
私の書く字には「はね」や「とめ」がなくなっている。
学校で習ったはずなのに。
字の一画一画が「はらい」に近い。
しかしながら、ひそかに私は思っている。
丁寧できれいな文字を書いたとしても、所詮、活字にはかなわないだろう。
それよりも個性豊かな字を書いた方が人間味があって味深くはないか。
漢字には「とめ」や「はね」や「はらい」がなくても間違いではないことを世間の方々はご存じだろうか。
漢字テストで「とめ」や「はね」ができていないと間違い扱いされたり注意されたりするが、それはおかしい。
2016年に文化庁は「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)」を発表している。
その中のQ&Aで,漢字の正誤をどう判断するか?という問いに対して以下のように答えている。(抜粋)
「文字の形に関しては,文字がその文字特有の字体を表しているかどうか,その文字に特有の骨組みが読み取れるかどうかを漢字の正誤の判断基準としています。つまり,別の文字と見分けられなかったり,紛れてしまったりすることがなく,その文字であると判断でき,その文字としての働きをするのであれば,誤りとはしない,という考え方です。ですから,漢字の細部のとめ,はね,はらいなどが,字体の違いに影響し,文字の判別に関わってこないのであれば,その有無によって正誤を分けることはしません。」
上記の通り堅苦しい文章だが,書かれた文字がその文字として読み取れれば誤りではないということだ。
私の書く「はらい」の集合体のような文字も判別できれば,それでいい。
迷惑をかけなければ,それでいい。
私の書く字がいとおしい。