シニアがブログでモノローグ

このままでは年を取って死ぬだけ。ブログでもやってみよう。

過ごしやすい季節

10月も後半になると暑くも寒くもなく過ごしやすくなる。

身のまわりの温熱環境の良し悪しは気温だけで決まらないが(湿度,気流,輻射熱も影響する),気温の影響が大きい。

あえて気温に注目すると,私たちに適した気温のことをoptimum temperature(至適温度とか最適温度と訳されている)という。

 

至適温度はその人がどう感じているかという主観的至適温度,エネルギー消費量が最小で体温調節の努力も最小ですむ生理的至適温度,作業能率が最高になる生産的至適温度に分類されている。

(2020年10月8日のブログ「スポーツの秋」を参照あれ。)

 

上にあげた3つの至適温度は異なる。

おおまかにいうと,生産的至適温度は運動や労働をしているときに適した温度で,じっとしているときに適した温度である生理的至適温度よりも低い。

主観的至適温度はその人が適していると申告する温度なので,それが何度だろうと本人が主張しているのだから抗いようがない。

 

その昔,まだ若かりし頃に行った実験室実験がある。

寒い部屋,寒くも暑くもない部屋,暑い部屋を作って,それぞれの部屋の中につるしたハンモックに半袖短パンの姿で寝そべる。

 

エネルギー消費量と気温の関係に注目した実験だ。

私たちは寒いとエネルギー消費量を増やして体内で熱を作る。

暑くなり過ぎたときも体温調節や体温上昇のためにエネルギー消費量が増える。

暑くなると熱を作らないように一時的にエネルギー消費量を減らすという言説はあるが,確認されていない。

 

さて,実験結果がどうなったかというと,統計解析により寒くなってエネルギー消費量が増してくる気温は約24℃になった。

逆に暑くなってエネルギー消費量が増してくる気温は約45℃になった。

やや高温側に片寄るが,かなり広い温度範囲でエネルギー消費量は変わらない。

 

ただし,これはひたすらに体温調節機能が働いているからであり,生理的至適温度の範囲とはいえない。

着衣の仕方にもよるが,薄着のときは気温が28℃~32℃のときに皮膚血管の伸縮以外の体温調節の努力はなされていない(thermal neutral zone)。

ここら辺の気温が生理的至適温度といえよう。