国連の推計で、昨年末に世界人口は80億人を超えたという。
今世紀の後半には100億人を超えるようだ。
新年を迎えて希望的なことを考えたいが、地球規模で考えてみると、この先どうなっていくのかという気になる。
哺乳類でネズミなど小型のものを除けば,人類の個体数が圧倒的に多い。
その次に個体数が多いのは家畜の牛や羊や豚だが、それぞれ10億そこそこだ。
産業革命以後に世界人口は爆発的に増加した。
生きるためには食べていかないといけない。
増え続ける人類のための食糧を地球がどれだけまかなえるのか。
それだけではない。
人類は科学技術を急速に進歩させ,生態系に大きな影響を及ぼしてきた。
石油,石炭など化石燃料の大量消費は二酸化炭素を発生し,大気中の濃度を増している。
増加した大気中の二酸化炭素が赤外線を吸収するという温室効果で地球が温暖化していることは、もう間違いない。
これにともなう海面上昇や気候変動の農業に及ぼす影響が懸念される。
生態系が破壊されたときには地球規模の被害がもたらされる。
経済活動で生じる廃棄物が河川から海洋に流出したり、事故で石油が流出したりすることによる海洋汚染。
大気汚染物質である硫黄酸化物や窒素酸化物が雨に混じった酸性雨。
樹木の伐採による砂漠化や熱帯雨林の減少など。
一方で、歴史を異にする人類集団はお互いに縄張り争いをしたがる。
その手段として核戦争も辞さない構えだ。
核攻撃を応酬しあえば、大量死はもとより地球は放射線物質で汚染されてしまう。
人類がもたらした環境汚染や破壊は,私たちをはじめとして生物全体の存在をおびやかしている。
このように人類が地球に大きな負荷を与えるようになった地質学上の時代を人新世anthropoceneと記すことが多くなった。
恐竜化石からたどれる地質時代を中生代というように、人類が地球に残した爪痕からたどれる地質時代を人新世と呼ぼうというわけだ。