しばらくブログを書いていなかったので、何かネタはないかと昔の文書ファイルを開けてみた。
会議に出席して熱心にメモをとるタイプの人間ではなかったのに、いつになく詳しくメモをとっていたものが見つかったので記しておこう。
今回のブログのタイトルにもあるように、英語論文の書き方についてのメモだ。
(もう私自身が英語論文を書くようなことはないだろうが、ひょっとして若い人がこのブログを見て参考にするかもしれない?)
それは、ある学会のワークショップで小木和孝という労働科学の先生の「英語論文の書き方」についての講演を聞いたときのメモだ。
おそらく私がメモを詳しくとったのも、この先生が語学に特に優れていると恩師から聞いていたからだと思う。
戦後の進駐軍の英語ニュースを聞いているうちに英語が話せるようになったらしい。
ドイツ人の講演があったときも、ドイツ語通訳より詳しく説明してくれたことがあった。
もちろん、労働科学の分野でも知る人ぞ知る学者で国際労働機関(ILO)の局長も務めた。
余談になるが、私が若い頃にとある研究所の研究員に応募しようとしていた矢先、対抗馬としてこの先生が現れた。
このことを知った恩師は、すぐに私に諦めなさいと告げた。
一応、弁解しておくと、研究所は若い私よりずっと年上の指導的立場の人を採用したかったと聞いている。
前置きが長くなったが、以下にその先生が講演したときの私のメモを記す。
英語論文の書き方(メモ)
New York Times(Washington Post)の社説は一文22語以内で書かれている(小木先生が実際に語数を数えてみた) ⇒ 一文は短く
プレイン(平易,ぼくとつな,大平原)な英語を目指す(Plain English)
・ 単文にする
・ うまく書こうとしない(pompousでない)
・ 簡素な構造の文(目標は中三英語)
論文・メールの目的 ⇒ プレインにメッセージを伝える(起承転結)
・ 書き出し(前とのつながり)
・ 特性(書くテーマ,方法,材料)
・ ことがら(起こったこと,起こること) ×following results were obtained
・ 締めくくり(インパクトとして残したいこと)
プレインな英語の7則
1. 短い
2. 単文
3. 短い単語の多用
4. 少ない名詞 ×… of …
5. 必要なだけの用語
6. “ぶらない”表現
7. すっきりした文脈
7則のヒント
1. 一文あたり22語以内に
2. 複文を避ける
3. 2綴り語(syllable)を増やす ex. concerning ⇒ about
4. 名詞を動詞にする ex. measurement of … ⇒ was measured
5. 不要語(dust)をとる
6. 竹馬文(stilted)をさける(誇張した,大げさな)
7. 接続語を減らす(文脈がつながるよう)
プレイン英文を書く
1. 段落ごとにトピックセンテンスをまず書く その内容を簡潔な少数文にする
2. 各文あたりの語数を数える(本当に数える)
3. 分けられる文は分ける
4. “dust off” する
・ 長い名詞やofのついた名詞 ⇒ 動詞化
・ 不要語と言い換えだけの語
・ もったいぶった(pompous)表現
・ 接続語
5. 文法誤りを直す
プレイン文法
1. countableとuncountableの区別
countableはa,-s,かthe uncountableは無冠かthe 注意(work, information, behavior)
2. 正しい前置詞
3. to+動詞とto+名詞の区別(ex. look forward to seeing you)
4. 特定された名詞に限るthe(例外UNICEF,group B)
5. 同じ単語表現を近くにおかない
6. thisの活用
7. 英米表現の区別(ex. Labour vs. labor)
以上が私の英語論文の書き方についてのメモだが,日本語で味気ないが分かりやすい論文を書く精神と変わりないようだ。