シニアがブログでモノローグ

このままでは年を取って死ぬだけ。ブログでもやってみよう。

トーン・ポリシング

有名な芸能事務所、ジャニーズの名前が消える。

亡くなった前社長の異常な性的嗜好により、多くの未成年タレントが犠牲になったことは既に本ブログ(9月15日付「マスメディアの沈黙」)に記している。

芸能事務所は被害者に配慮してジャニーズの名前がついたものをすべて消す判断をしたという。

 

そのことを表明をする記者会見が先日、開催された。

しかし、一部の記者から司会者による質問者指名の仕方がフェアでないという不満の声が上がり、会場は一時、騒然となった。

 

そのときの出来事であるが、記者会見に出た芸能事務所の幹部から、不満を口にした記者に対して落ち着くようにとたしなめたことが批判されている。

私も記者会見のテレビ中継を見ながら、何か違和感を感じた。

声を荒げる記者たちをたしなめるのは司会者の役割ではないかと感じたからだ。

 

質問を受ける側が質問する側の質問の仕方にまで言及するのは好ましくないという記事もネットで見た。

対話するときに、話の内容ではなく相手の話し方や態度について批判することをトーン・ポリシングというらしい。

話の中身からはずれて、話以外のことに注意を向けさせる手法だ。

 

トーン(tone)とは口調、ポリシング(policing)とは警察活動や取り締まりの意味。

和訳して「話し方警察」というらしいが、相手のものの言い方や振る舞いを批判して話をそらすことをいう。

 

2000年代になってアメリカで使われ出したことばという。

例えば、人種差別の抗議活動で一部の人の暴力行為を理由に話し合いの道を閉ざそうとすることはトーン・ポリシングにあたる。

 

今回の性加害問題の記者会見にしても,記者側からの質問内容ではなく記者側の態度について質問される側が言及したことはトーン・ポリシングと受け取られても仕方ない。

意図的に言及したわけではないのかも知れないが。

 

その他,対話では「そっちこそどうなんだ主義」の論法にならないよう注意しなければならない(本ブログ2022年4月18日付「そっちこそどうなんだ主義」を参照)。