シニアがブログでモノローグ

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自然界の放射線

前回のブログで放射線は身近な存在であることに少しだけ触れたが、日常的に自然界から私たちが浴びている放射線もあるので記してみよう。

 

宇宙からいろいろな放射線が地球に降りそそいでいるとともに,地球に含まれている放射性元素放射線を出しながら安定した元素へと変わり続けている。

食物や空気中にも放射性物質が含まれている。

このように地球上の生物は絶えず自然に存在する放射線(自然放射線)を浴びている。


宇宙からくる放射線宇宙線)には太陽からのものと太陽系外の超新星爆発によるものがある。

これらの宇宙線は一次宇宙線と呼ばれ,一次宇宙線が大気中の酸素や窒素の原子と衝突して二次宇宙線と呼ばれる新たな放射線を作り出す。

一次宇宙線は全体の9割以上が陽子の流れであり,その他はアルファ線ベータ線やX線だ。

二次宇宙線には中性子線やガンマ線がある。

 

地球上の高い場所ではその上にある大気の層が薄くなるので,大気にさえぎられず多くの宇宙線が到達する。

富士山頂は平地の5倍,ジェット機に乗っているときなど,より高い場所ではさらに多くの宇宙線を受ける。。

ジェット機で東京とヨーロッパを往復すると約0.07mSvの宇宙線を受ける。

一年間にヒトが受ける宇宙線の世界の平均は0.38mSv,日本で平均0.29mSvという。


地球そのものから発する放射線は土壌に含まれているウラン,トリウム,ラジウムカリウムなどの放射性物質によるもので,地域によりその程度は異なる。

関西地方の土壌には放射性物質を含んでいる花崗岩が多いので,土壌からくる放射線が比較的多い。

一年間に土壌から浴びる放射線は日本の平均が0.38mSvであるのに対して、滋賀県は0.56mSv,大阪府は0.46mSvだ。

 

日本より世界の平均はもっと高く,0.46mSvとされている。

インドのケララ州やブラジルのガラパリ地方の土壌には放射性物質であるトリウムを多く含み,それぞれの地域で1年間に約38mSv,および約10mSvの放射線を受けている。

さらに,インドのラムサール市にはラジウムを含んだ湧水の出る地域があり,ここでは1年間に100mSvの放射線を受けている。


一方,体内に摂取した食物からも放射線を受けている。

食物に含まれている放射性物質としてはカリウム,鉛,ポロニウムなどがある。

例えば,カリウムは身体に必要な元素であるが,放射性のカリウム40も含んでいる。

カリウム40の量を食物1kg中でみると,白米30Bq(ベクレル、放射線の強さを表す単位),牛乳50Bq,バナナ120Bq,かつお(生)130Bq,ほうれん草200Bq,わかめ(生)230Bq,干ししいたけ700Bq,干しこんぶ2000Bq程度である。

体内に摂取すると一部は排泄されるが,体内に残るものもある。

放射性のカリウムにより1年間に受ける線量は日本人の平均で約0.18mSvとされている。


また,空気中には他の物質と化合しないラドンが漂っているが,呼吸することにより体内に入る。

肺の内部に付着したラドンアルファ線を出す。

ラドンは土壌や岩石の中にある。

コンクリートの家などでは室内空気にラドンが放出され易いといわれているが,日本に多い木造で開放的な住宅ではラドンからの放射線は少なく,一年間に平均0.4mSvと見積もられている。

世界の平均は1.3mSvだ。

コンクリートで密閉性の高い家が多いスウェーデンでは日本の4倍程度になるとされている。

健康影響については明らかでないが,鉱山労働者の疫学調査ではラドンによる被ばく線量が0.3Sv~0.6Sv程度から肺がんの発生率に影響する可能性のあることが示されている。


以上のような自然放射線による被ばくをまとめると,宇宙線や土壌からの外部被ばくにより日本人は一年間に平均0.67mSv,食事や呼吸による内部被ばくでは平均0.81mSvとされている。

世界の平均は,外部被ばくで0.8mSv,内部被ばくで1.6mSvという値が示されている。

 

放射線は宇宙の誕生以来存在するものであり,生物も絶えず放射線のある環境に生きてきた.

現代文明は人工的にも放射線を作り出して利用している.

人類が放射線に気づいてわずか100年余りでしかないが,放射線の持つ長所と短所の両面について知識が深められてきた。

放射線は私たちが生活していく上で切り離せない存在だ。