標本調査は,調べる対象の全体を調査できないときに全体から少数を抜き出して調査し,全体を推測する方法だ。
前回のブログで、学校保健統計によると高校3年生である17歳の女子の身長は令和元年の標本調査で平均157.9cm,標準偏差(ばらつき)5.34cmであることを記した。
標本調査でえられた平均身長は、どの程度まで確からしいのだろうか。
何度も標本調査をして平均身長を計算したとき、平均身長のばらつきを標準誤差といい、標準偏差÷(標本数Nの平方根)で計算できる。
学校保健統計調査で女子17歳の標本数は2万人くらいであると思われるので標準誤差は5.34cm÷141.42(20000の平方根)≒0.04cmとなって0に近くなり,母集団の平均身長は157.9cmであるといってほぼ間違いはない。
標本数Nが大きいほど本当の平均値に近くなる。
このことは別の言い方をすると、観察した回数Nが大きいほど観察にともなう誤差が小さくなることを意味している。
日常生活においても私たちは様々な物事を正確に理解しようとするが,そのためにはどうしたらよいか。
その一つの方法は物事を観察する回数を増やし、経験を豊富にすることである。
観察を通じて得られるものは,観察回数が多いほど正確さを増して本質にせまるものになるだろう。
様々なことを繰り返し観察しながら経験を積み重ねてきた人たちが、酸いも甘いも噛み分けたり目が肥えていたりするのだろう。
このことを標準誤差の計算式が端的に示しているように思う。