新型コロナウイルスの感染拡大を封じ込められず,ウイルスは世界的に蔓延してしまった。
今となっては,このウイルスとつき合っていかねばならない。
もともと、私たちの遺伝子にはウイルス由来のものが半分くらいあるという。
ウイルスというと病原体として想像することが多いが、私たちはウイルスの遺伝子も取り込みながら進化してきたらしい。
一方、ウイルスの立場からすれば私たちの細胞に忍び込んで生きながらえている。
確かに、共生していると認めざるを得ない。
共生している例としてしばしば出てくるのが私たちの胎盤形成にかかわっているレトロウイルスだ。
恐竜が絶滅して哺乳類が登場してきたころに生殖細胞に入り込み,ゲノムの一部として内在化したという。
胎盤では母体側の血液と胎児側の血液が接して栄養や老廃物をやり取りしている。
母体の血液にとっては胎児側の父親由来の部分が異物となる。
そこで,拒絶反応が起きないように母体と胎児の血液を隔てている細胞は母体の血液のリンパ球を胎児側に入れない仕組みになっている。
この細胞を内在化したレトロウイルスの遺伝子が作り出している。
私たちの子孫の繁栄に一役買っているといえよう。
そうはいっても、私たちを死に追いやるようなウイルスは恐ろしい。
ワクチンや特効薬が早く開発されることを切に願う。