前回のブログで、勉強の仕方として詳細から概要へ(別の言い方をすると部分から全体へ,分析から総合へ)というやり方があることを記したが,研究の仕方にも通じると思う。
昔、ある学会の口頭発表の場で一人の老教授が若い研究者に向かって「自分の研究に没頭するのもいいが、もっと本を読んだ方がいい」と感想を述べた。
もっともらしく聞こえるが、本当にそうなのだろうか?
研究ということばの意味を辞書で引くと、「物事について深く考えたり調べたりして真理を明らかにすること」とある。
研究が真理を明らかにしようとする行為なら、どうしても真理に近づこうとして近視眼的かもしれないが研究対象に接近しようとする。
詳細な観察をしようとするではないか。
その過程で、実験や調査の手技やコツを身につけていく。
そして、このような研究の仕方は時間や体力を要し、若いうちにすべきものであろう。
「建物を研究するなら、若いうちは建物を構成するレンガを見た方がよい。建物全体を見るのは、その後でもできる。」と私の指導教授は語っていた。
研究の羅針盤として本を読むのもいいが,内容にタイムラグがあるし,研究の詳細はわからない。