シニアがブログでモノローグ

このままでは年を取って死ぬだけ。ブログでもやってみよう。

本物の空気は読まないと危ない

世界的なコロナ禍で,日本人の感染者や死者は少ないという。

日本のある政治家は法律で強制しなくても行動を自粛する日本人を民度の高さととらえて国外に吹聴している。

一方,空気を読んで同調圧力が働きやすい国民性からお互いが行動を自制している結果に過ぎないと冷めた目でみる人たちもいる。

 

空気を読むとはその場の雰囲気や状況を察して行動するさまを意味するようだが,私たちの身のまわりに実際にあって呼吸している空気は読まないと危険なときがある。

生命や行動を維持するためのエネルギーは,体内で三大栄養素を分解して作り出される。

そのためには呼吸して空気中から酸素を取り入れる必要があり,酸素がないと死に直結する。

 

室内や地下室のような閉ざされた空間では空気の組成が変わりやすいので,そのことを読まないと(注意しないと)いけない。
新鮮な空気中の酸素濃度は約21%である。

換気されていない場所で呼吸したりストーブのような暖房器具で酸素を消費したりすると,酸素濃度は低下するとともに二酸化炭素濃度が上昇する。

酸素濃度が16%程度にまで低下してくると,酸素不足の代償反応として呼吸数や脈拍が増加するとともに,脳血管の拡張による頭痛など酸素欠乏症(酸欠症)の初期症状がみられるようになる。

さらに酸素濃度が低下すると危険性はいっそう強まる。

6%程度の酸素濃度では瞬時に昏倒して呼吸は停止し,大脳皮質は破壊されて数分で死にいたる。


空気中の二酸化炭素については,定量が比較的容易にできることや二酸化炭素濃度の上昇が換気の不十分さを意味することから,室内の空気汚染の程度をみる指標として用いられている。

新鮮な空気に二酸化炭素は0.03%含まれているが,許容濃度は建築物衛生管理基準で0.1%,学校管理衛生基準で0.15%までとなっている。

二酸化炭素そのものによる症状は1%程度の濃度から始まるので,許容濃度の基準は二酸化炭素の毒性をもとに決められているわけではない。


室内で火を使用するようなときに注意しなければならないのは,空気中への一酸化炭素の発生である。

最もありふれた毒性の強いガスであり,不完全燃焼により発生する。

完全燃焼に近いような暖房器具であっても,しばらく燃焼していると室内の酸素濃度が低下するので,やがては不完全燃焼の状態になる。

 

一酸化炭素の毒性はヘモグロビンとの高い親和性によりもたらされる。

一酸化炭素は酸素よりも210倍くらいヘモグロビンと結合しやすい。

したがって,ヘモグロビンと結合して組織へ送られる酸素が欠乏するので,一酸化炭素中毒の症状は酸素欠乏症と酷似している。

中毒症状はヘモグロビンの一酸化炭素飽和度が上昇するほどひどくなる。

 

室内の一酸化炭素の許容濃度は,建築物衛生管理基準と学校環境衛生基準で10ppm以下にするよう決められている。

単位が%(百分の一)ではなくてppm(百万分の一)だから,ごく微量しか許容されていないことがわかる。

 

室内の空気汚染を防ぐには,窓を開けたりして十分に換気する必要がある。

コロナの感染防止対策として部屋の換気をするよう呼びかけられているが,新鮮な外気や酸素を取り込むための対策でもある。